ちょっと気になるパワーの話
第2弾

“アクセル全開と エンジン全負荷は違う!”今回は 知らないと 損をする大切な内容です。”チューニングのことをもっと知りたい” と言う初心者の方や、すでに充分理解していると言う方々も確認の意味で ご覧下さい。


アクセルを全開にしたとき エンジンのパワーは最大だと思っている人はいませんか?
パワーの大きさは エンジンに掛かる負荷の状態によって たとえアクセル全開でも
いつも違うんです。 エンジンの全開性能とは アクセル全開で負荷を掛けた状態のエンジンが
回転数を維持できるパワーの量です。
たとえば2000rpmの時、・・・6500rpmの時・・・ それをつなげたのが
カタログなどで見るパワーカーブです。
このカーブは 一般に全開性能曲線と呼ばれ そのエンジンが出しうる最大の能力を表します。
エンジンのチューニングはその能力を さらにアップさせる為に行われます。

それでは 車が走るときどれだけのパワーが必要でしょうか?
一般的な車を例に取りますと 平坦路を 100km/hで走る為の必要馬力は 
わずか 30数馬力です。
では、 同じ条件の車が 300km/h で走るためには・・・
なんと700馬力を越えるパワーが必要になってきます。
それだけ走行抵抗の増加率が大きいと言うことが解ります。






〈ps〉
横軸  速度×10km/h


本題に戻りまして アクセルを全開にしたときに 何故エンジンのパワーは最大ではないのでしょうか?

簡単な例ですが
ギアを ローに入れて スタートし アクセルを全開にしたとします。
当然ですが車はすぐに動き出します。
つまり移動してしまうためエンジンに掛かる負荷が小さくなってしまうのです。

一応 全負荷になる可能性もあるので簡単に説明しておきます。
「車を限りなく速く加速させた場合」や 「動き出した直後に減速比の小さなギアにシフトし
全開にした場合」です。
通常、スタート直後の低速度域では走行抵抗が小さいため 走行に必要な馬力は
加速に必要なパワー分を除けば小さな馬力で充分ですから
急な上り坂、 とてつもなく重量の大きな車、 異常に走行抵抗の大きな車以外は 
エンジンが最大負荷になることはないと考えるのが妥当です。
ごく簡単な判断基準ですが アクセルを全開(または、一定)の状態で 加速していれば
まだパワーにゆとりがあることになります。
つまり、最大負荷に至っていないと言うことになるのです。
ローラーを使用したシャシダイナモメーターの優れたところはローラーが回転することによって
車が移動するのと同じ状態を作り出すことが出来るという点です。

急加速時には タイヤを回転させる為に必要なパワーも とても大きな負荷になります。 
アルミホィールを使用したりする事も加減速時のレスポンスを改善する事に役立っています。
では エンジンベンチや車軸に直接負荷を掛けるタイプの
負荷装置(ダイノパック等)での調整はどうでしょうか
アクセル全開でも 車が移動しないので 実走時の負荷状態を作り出すことが出来ず
走行状態のセッティングは不可能です。
アクセル開度を調整しても燃料の調整等は可能ですが、アクセルを戻すことによって
吸入空気量等が異なるため見せかけの調整になってしまいます。
これらの負荷装置を使用しているショップで 実走が無くならないのは当然で
何のために導入したのか・・・。 
高いリース料金を抱え 泣き寝入りしているショップが多いのも事実です。
レース用等 高速(走行抵抗の多い状態)で限られた範囲を使用するエンジンのセッティングには
使用可能ですが車軸に直接取り付けるタイプの負荷装置は
一般のチューニングには 不向きです。

それでは ローラー式のシャシダイナモメーターで計測した馬力は
どれだけ信用できるのでしょうか?
理論的に裏付けされた計算方法により算出されるデータは 再現性も良く
連続して計測した場合でもエンジンの熱だれが充分に確認できるほどで
同じ状態で計測したパワーカーブがグラフ上で綺麗に重なります。
勿論、実際のパワーとほとんど変わらないデータが算出できるよう 充分に調整されています。
また オートマティック車の計測も問題なくできる点は 前記負荷装置では考えられません。

ちょっと気になるTOP 2001年6月